有料老人ホームには第三者評価の受審を義務化すべきです

高い施設利用料を取り、「親身な介護サービスの提供」を標榜する有料老人ホームが起こす不祥事というか、将に、「不名誉なスキャンダル」がしばしば話題になるたびに、「いったい何が介護職員の不良化」を起こすのだろうか? その原因は何なのか? という疑問が私の頭の中を巡ります。

結局は、経営者の信念と、その理念の実現努力に依存するのですが、「わたみ」などは、業界進出当初の意気込みが無くなり、事業の売却に走ってしまいました。はっきり言って、「儲からないから・・・」というのが本心の理由である訳ですから、「やはり、短期間の利益の実現のために介護事業を始めただけだった」という情けなさで、大衆を失望させてくれたのです。

こうして有料老人ホームの株主や創業者の「化けの皮」が剥がれて行くのには大変な失望感を強めるだけです。

そんな中で、今日、老人ホームに実母を住まわせる傍ら、ご自身は同様の介護施設を沢山運営する会社の管理者として、自身の理想追及で泥まみれになって、毎日を苦悩している女性から話を聞く機会を得ました。

彼女は理想と現実の差異の大きさに殆ど絶望の境地に追い込まれているようでしたから、介護作業の現場で働く介護士の境遇に正しい理解を抱いているので、私の観念論とは異なり、事実に根差した観察をしていることが印象的であり、言われたことに強い説得力を感じました。

「とにかく介護職員の仕事量が多すぎて、そうした仕事に追われている彼らの心までが疲弊してしまい勝ちである」という観測意見が、すべての問題の根源を示唆しているように思わされました。

「確かに、施設居住者に暴力的な虐待行為を繰り返したことは悪い。でも・・・・」「でも、現状の仕事量、特に、介護行為以外にこなさなくてはならない記録とか分析とか報告など、付帯して課せられている業務の処理義務に、彼らの体力と気力が押しつぶされているという現実」 そのことを、彼らを管理する上司、管理者、そして経営者が理解をして、負荷の軽減を図らないままにしているのが「現実の姿」だと言わんばかりでした。

それを理解せずに、多すぎる仕事を、しかも、介護行為以外の事務的な仕事までが押し付けられたままにされている状況が、ある水準以上で継続すると、「当初も今も優しい心の持ち主であるはずの介護士」の心が切れてしまい、自虐的な、あるいは、暴力的な、投げ出しの行動に無意識のうちに走ってしまう。「そういう現実が介護現場にはある」と彼女は私に訴えたのです。

それは、「介護職員への甘い同情ではない」ように受け止められました。本社の管理部長の立場にある、ただし、このような現場の現状を理解し苦悩している部長の存在は珍しいのかもしれません。本社のデスクで踏ん反り返っている部長の多い中で、現場を常に回り、現場の状況に接する努力をしている部長は珍しいです。

その中から問題の本質を見出し、解決策を提案しているのですが、少しでも経費の掛かることは受け入れない本社部門の管理者とトップの拒否反応で、殆ど、承認されず、実施されない、従って、改善されない現実に彼女の忍耐が限度の線を彷徨っているかのようでした。

表向きの理念は「利用者様本位」 しかし、本心は、「利益追求が第一。経費削減が第一」で、「利用者様本位」の理念の実践は、遥か彼方に霞んでしまっている。

「利用者」とか「利用者様」という言葉は、私は大嫌いな言葉でして、そのことは、折に触れ、このブログでも、そして、私の所属する「福祉・介護の研究会」で、「何故、利用者という呼称でなく、『お客様』と言えないのですか?」と、時々発言したり提唱して、出席している介護専門家から拒否反応を示されて来た因縁の言葉です。

しかし、今日は、彼女から、「お客様の望み」「お客様のニーズ」という言葉が何回か発せられました。「ああ、この人は、事の神髄が分っている!」と私は思ったものです。

要するに、「お客様にサービスを提供する」とか「お客様に奉仕して、その対価を得て、施設を経営して行く」という根幹であるはずの基本を自覚しない介護施設の経営からは不祥事は消えて行かないのです。「利益ばかりが前に出る。優先される」「職員の仕事の量を増やすだけで、その質が、即ち、サービスの質が低下しても気にならない」「どうしたらサービスの質を犠牲にせずに経営できるか。そのためには、どうしたら、職員のやる気、勤労意欲を高位に維持できるかを考えることが忘れ去られる」「職員の処遇や待遇の質など、2の次、3の次」・・・

「これでは、虐待行為すら消え去らない」「そんなフシダラな業界で身も心も汚し続けたくない」「馬鹿にしないでよ。そっちのせいよ!」と彼女の叫び声が聞こえて来た感じでした。

この現状、どうしたら良いのでしょうか。私は、ふと、「有料老人ホームには第三者評価制度の定期的な受審を義務付ける。そういう提案から、この介護業界が袋小路からの脱却させられないだろうか?」と考え始めました。

「そう言えば、私が10年近くも昔に関わった、『第三者評価制度』は一向に陽の目を見ていない」そんな気がし始めました。「近々、その推進本部を訪ねてみようか」と思うのです。

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