目の前で老人が腕で防御もせずに前方にバッタリ倒れ動かなくなって・・・

昨日の昼下がりのこと、拙宅の最寄りのJR戸塚駅前のメガネ店を出て駅につながる地上3階の高さの広い歩道橋を歩いていた私の眼前10mぐらいの前方でした。太った男性老人が、急に、手もつかずに前に倒れ込むのを見ました。丁度1年前に、知人の義姉の85歳前後の女性ピアニストのピアノリサイタルでの全曲の演奏が終り、花束授受と演奏者本人の挨拶の直後の退場の一瞬に、彼女が前方にバタッと倒れ込んだ光景を思い出しました。あの時は、ロングドレスの裾を自分の足で踏んでしまって無防備に転倒されたのでした。

昨日のその男性、立ち上がる気配もなく身動きをしないまま2〜3秒、否、5秒(?)、脇を通った通行人の誰もが一瞥するだけで助けの手を差し伸べる気配がありませんでした。一瞬のその間立ち止まっていた私は走り出して、彼の前にしゃがみ込んで声を掛けたのですが無反応だったので顔を近づけて、「大丈夫ですか?」「どうされたのですか?」と尋ねていたら、後ろから男性の通行人が2人駆けつけていて、「体を起こした方が良い」と言って、その老人の体を引っ張り上げたのですが、当の重い体重の老人は膝を曲げないので、硬直状態のように、とうとうそのまま、立ち上げられてしまいました。

すると意識が戻って来たのか急に体重を重く感じたのか、その場にしゃがみ込みました。その時は既に助っ人が私を含めて4人になっていました。その中の誰かが発した「後ろの柱の下に寝かせた方が良いよ」という声に一同が応じて柱に上体を傾けて座らせようとしたら、傍に体が傾き、コンクリートの地面に倒れ込むので、そのまま、体を横たえてもらいました。両目を空いて瞬きし始めたので、「分かりますか? お年は幾つですか?」と尋ねると、「83歳」との返答。

「でも、額の奥が赤く見えるから内出血しているよ」と誰かの声。すると、「救急車を呼んだ方が良いよ」との別の声に「私が呼びましょう」と私は手持ちの携帯電話で119番を掛けました。

「どうしました?」と直ぐに電話の向こうから男性の声が聞こえました。係官でした。私は、自分の名前を名乗り、状況と現場の位置を説明すると、「すぐに救急車を送ります」との回答。「真下の地上の四辻の交差点の端から手を振って合図します」と言って電話を切りました。私は、既に当の翁を囲んでいるにわかに出来た仲間(?)に「救急車が来ますから、私は階下で確保しますので、よろしく」とに言い渡して、階段を降りて地上に出ました。

すると既に遠くから救急車のサイレンが聞こえて来ました。安堵した私は消防署が駅の近くに所在することを思い出しました。折からの交通渋滞で車の列を蛇行しながら通り抜けて、やがて私の合図を見つけた救急車が眼前に到着しました。そして中から飛び出して来た隊員の一人を伴う形で、階段を駆け上がり階上の現場に案内しました。

「どういう状況で倒れられましたか?」との隊員からの質問に発見した状況を、まず、私が説明すると、「私が丁度この人の後ろを歩いていたら、急に左右によろよろと歩き出したと思ったら前方にバタッと倒れた」と別の男性が言葉をつなぎました。すかさず、「歩きながら気絶したのだろう・・」と解釈の発言を隊員がしました。私が、「こういうことは初めての経験ですか?」と尋ねると、「3回目かな?」との答えを翁がしました。

周りを見ると、既に、10人ぐらいの歩行者が集まって来ていました。隊員が、「ここからは、私たちで対応しますから、安心してください」と言ったので、私も、ここで、「一般住民の仕事は終わった」と納得して、場を後にしました。

その後はどうなったか分かりません。「病院に連れて行かれただろう」「家族に連絡が取れたのだろうか?」「3回目の転倒だったら、何か持病を持っているのだろうなあ」「買い物をしたらしく中ぐらいの大きさのビニール袋に何か入っていたけれど、独りで外出して買い物ができる体力と気力があったのだろうな」「家族が心配して、外出禁止を言い渡されるだろうか」「そういう私も78歳、あの翁とは5歳若いけれども、自分にも近未来に起こってくる事件だったなあ」との思いがめぐりました。

今夜は、冒頭に引用した女性ピアニストから招かれている彼女のリサイタルのある日です。「あれで、もう引退か?」と思いきや、今年も開催とのこと。「どうなさっているか?」と気になっていたので、「あれ! まだやるの?」と思っていた矢先の同様なハプニングでした。今夜は、会場の東京上野の東京文化会館に出かけて行って、老婆の勇姿を確認して来るつもりです。私も歩く足先に注意します。

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